人と一緒にお葬式ができる時代に

檀家のお寺に葬れる

昨今、人のお墓において、墓じまいというのが行われるようになってきています。
結婚した子供は別に世帯を構えることや、親世代自体、子供夫婦との同居を望まないこともあって、別々に暮らすのが当たり前になりました。
その親世代が行うようになったのが墓じまいで、いちばんの目的は子供にお墓の守りをさせるのが申し訳ないという理由からです。

申し訳ないという思いと同時に、負担になってはいけないという気持ちもあり、墓をしまって、永代供養をしてもらう方法にのりかえる人が急激に増加中です。

これには、お墓の世話をするお寺も危機感を抱いており、何とか檀家として残り続けてもらうよう、あれこれと新しい試みを始めています。
その中に、ペットのお葬式を執り行い、お寺の一角に共同埋葬墓地を作り、そこで動物たちの霊を弔うというお寺も出てきました。
一般的には動物たちの眠る場所はペット霊園にあり、人間とは別の場所へお参りに行くものでしたが、これからは、ご先祖様が眠るお墓があるところに、愛犬、愛猫のお骨を納骨してもらい、一緒にお墓参りをすることができます。
そうなると、愛犬、愛猫を可愛がっていた子供世代が墓参りに訪れてくれるきっかけになりますし、当然先祖代々のお墓にもお参りしますので、墓じまいを防ぐことができます。

宗派のお寺のお経だからありがたい

人のお葬式の際、宗派によって読まれるお経が異なります。

そのため、家ごとになじんだお経があるはずです。
もしも、愛犬や愛猫をペット霊園に葬るとしたら、お葬式では霊園専属のお坊さんが来て読経してくれますので、なじんだお経ではない可能性があります。
それでも、動物のためにお経をあげてくれるのですから、ありがたいことなのですが、これが子供の頃から慣れ親しんだ自分の家の宗派のお経だとしたら、もっとありがたいと思えるでしょう。

動物とは、家族として共に暮らしても、その期間は長くても20年もありません。
しかしながら、その間に共に過ごす時間は密であり、たくさんの想い出を遺して逝ってしまうのが、愛犬であり、愛猫であり、そしてその他のペットたちです。

もし、菩提寺に家族ともいえる存在を眠らせることができる場所があるのなら、とりあえず火葬してお骨にし、お寺に持って行ってお葬式をするという選択肢が採れます。
これなら一度に家族全員のお墓参りができますし、仮に墓じまいをしたとしても、永代供養をしてもらうことにすれば、人も愛犬、愛猫も、いつまでも同じお寺に眠っていられるでしょう。

これからはもっと増えるのでは

一つのお寺がやり始め、それが墓じまいに待ったをかける結果になれば、これからは愛犬、愛猫と共に同じ敷地内に眠れるようなお寺が増えてくるのではないでしょうか。
子供が少なくなった今、子供の代わりというよりは、あえて子供を持たない選択をし、逆に犬や猫をかわいがる人が増えています。

この事実だけをとってみても、この先、ペットのお葬式という需要が増えていくのは明らかです。
保健所に連絡し、亡骸を引き取ってもらったのは過去の話で、今は共に暮らした家族にふさわしい、最期の弔いの儀式をしたいと考える人が圧倒的多数となっています。

そのための場所として、動物たちだけが眠る霊園を選ぶのもいいでしょう。
けれど、天国に逝っても、家族のそばにいさせてやりたいという願いを叶えるのに、人と同じお寺で儀式が営まれるようになったことは、愛犬家、愛猫家にとってはうれしいことです。
また、かつては畜生と呼ばれた動物の亡骸を人のお寺で弔うことになったのも、少子化と、これまでなら考えられなかった墓じまいという考え方がでてきたことが、大きく影響しているのは確かです。
時代の移り変わりとともに、儀式にも変化が訪れています。